第4話
「5」!!
数字が止まり、黒い球体の中から長い刀身の長剣が出てきた。それを見てタック・リリ・カレッシュは少し驚いた表情を見せる。
「行くぜ!」
ルイは長剣を取るやいなや、走り出した。一瞬で超巨大トカゲの前へと足を進める。それを見た5人はそのスピードに圧倒されて、動きを止めた。
「あんなに速かったのか・・・。」
ウィルが驚きの声を漏らす。ルイと組んだのは初めてなので、ルイのスピードを知らなかったからだ。
「くっ、俺も負けてらんねえ!」
タックはいち早く行動を再開した。しかし、タックが走り出した時にはもうルイと巨大トカゲは間合いの中に居た。
ルイは跳躍し、トカゲの口の前へと身体を持っていった。そして、軽い長剣を口の中目掛けて思いっきり振り切る。だが、ルイの意図に気づいたのか、トカゲは歯を閉じた。ルイの長剣はトカゲの歯を直撃したが、鈍い金属音と共に長剣は跳ね返された。
「テック流槍術、突風槍!!」
ようやく追いついたタックがトカゲ目掛けて槍を突き出す。だが、身体が大きすぎた。トカゲは全く動じない。それどころか、跳躍して身動きできないルイと攻撃が全く通用しなかったことにたじろいでいるタック目掛けて、噛み付こうとした。
「危なぃ!」
リリィはそう叫ぶと、2つの盾を伸ばす。トカゲが噛み付くぎりぎりのところでルイとタックを盾で捕まえて、引っ張り回避させる。
「ありがとう。助かった。」
「すまねぇ。」
ルイとタックはリリィに同時に言った。だが、リリィは
「今はそんな暇ありません、戦闘に集中してくださぃ!」
とだけ言うと、2つの盾を縮めて自分の手元へと戻した。ルイとタックは普段と違う迫力にただ頷くだけだ。
「目だ、目を狙え!」
性格の変わったカレッシュはそう叫ぶと、二丁の銃を両目目掛けて連射する。それと同時にリリがブーメランを投げる。
「ぐええええええええええ!」
カレッシュの銃撃とリリのブーメランが右目を直撃した。トカゲは大声で悲痛の叫びをあげながら暴れだした。トカゲの大きな尻尾が、リリ目掛けて襲いかかる!リリのブーメランは今Uターンをしてきた所だ。間に合いそうにもない。リリィが盾を伸ばすも、伸びるスピードよりもトカゲの尻尾がリリを襲う方が速い。
リリが恐れの表情を浮かべると、ウィルがリリとトカゲの尻尾との間に割って入った。そして水の刀身を長く伸ばし、トカゲの尻尾を断つ。しかし、尻尾の先はトカゲから分離されたにもかかわらず、スピードを緩めない。ウィルは緊急回避を試みるが、間に合わない!トカゲの尻尾の先端、鋭い物体がウィルの左肩を貫いた。
「ウィル!」
リリは叫んだ。他の4人もウィルの状況を確認しようと近寄ろうとするが、トカゲは暴れたままで残った尻尾を振り回す。やむなく、他の4人はそれを回避するため、集中力をそちらに回す。
「大丈夫?私のせいで・・・。」
リリはウィルに近寄って声をかける。ウィルは膝をついた。左肩からはとめどなく血が流れている。
「はは、ちょっと舐めすぎたみたいだ。」
ウィルはそう笑って大丈夫そうな顔を見せるが、青ざめていた。少し血を流しすぎだ。
「そんな血を流して大丈夫なはずがないじゃない!」
リリの声に力が入った。だが、いつもの強気なリリはいない。リリはウィルに身体を預けると、泣き出した。
「ごめんなさい、私のせいで・・・、ごめんなさい・・・・。」
このまま血を流し続ければ間違いなく死ぬだろう。それが分かっていて、自分に強い責任を感じてリリは泣いたのであった。いつもは涙など見せないはずなのに。
「いや、大丈夫だ。」
ウィルは優しく声をかけ、頭をなでた。そして立ち上がり、目を閉じて集中した。
「俺がこんなところでやられるわけないだろ。」
すると左手のリングが光を発した。同時に、血の噴出が止まる。そして、流れ出た血液は何かに操られたようにウィルの剣へと移動した。それを見たリリは泣き止む。
ウィルの血液は剣の刀身と変化した。そう、紅に光る剣へと。
そして、ウィルは予備動作なしに剣を振るった。すると、三日月の形をした真っ赤なモノが発生し、トカゲへと一直線に向かった。その三日月状の物体は今度こそ完全に胴体と尻尾を切り離した。そして、ぱーっと水しぶきをあげると、消えてなくなった。
「俺のこのリングは、本来は水だけを操るものだが、俺の状態が危なくなった時だけ液体を操ることもできるようになるんだ。」
何が起こったか分かっていないリリを横目に、ウィルは説明する。トカゲはさらに暴れだしたが、ルイがそのトカゲの一人で引き受け、撹乱している。その間にタックは槍を振るい、カレッシュは急所となるところを探しているのか、ばらばらな場所を狙って連射している。リリィも盾を腕のように使い、トカゲにアッパーをぶちかましていた。
「ってわけでそろそろ俺たちも戦闘に戻るぞ。」
ウィルはそうリリに声をかけると、トカゲに向かって走り出した。少し足元がおぼつかないが、大丈夫なようだ。リリはいつものリリに戻って、強気な表情を浮かべて頷き、いつの間にか手に戻ってきていたブーメランを放った。
第5話に続く